切り取り屋金次郎

銀行や各種金融機関、消費者金融会社に、表の仕事とは言えない闇金まで、人にお金を貸せる企業というのは、一般人には及びもつかないほどの財力を有しているというイメージがあります。しかしその一方で、さほど余裕はなくても今後のために仕事絡みで「貸し」を作らなければならない局面もあるのが飲食店です。そして飲み屋のツケは、なかなか返したがらないお客というのがとても多いものです。

そんなツケを切り取っていくのが本作の主人公、金次郎です。東京は銀座という日本一とも言える飲食店街に拠点にする彼は、驚くほどの美男子でありながらも、フットワーク良く、そしてあくまで紳士的に依頼者の求めに応じて熱心に債務者と対峙します。とは言えツケの相手も、銀座で豪遊を繰り返してきたような海千山千の強者揃いであり、そう簡単にお金を返してきたりはしません。そこで金次郎の裏の顔がものを言うわけです。ある時は相手の弱みを握り、またある時は偽の強盗を店に侵入させ当事者が一切損をしない形での鮮やかな切り取りを見せていきます。その手際の良さはまさしく職人的と言うにふさわしいものがあり、金のないところから切り取っていくような仕事でもあるのに嫌悪感を抱かせません。そしてそんな彼に依頼者である女性たちは惹かれ、体を重ねていくのです。

いわゆる金融屋を主人公にした作品は多く、ヒット作もいくつも生まれています。お金を仕事として貸すということは、いかにして回収するかを考えなければならないわけで、そうした作品の主人公たちはいずれも容赦のない取り立てをしてきました。暴力や財力、あるいは法の力にものを言わせたやり方でしたが、本作はそうした既存の主人公たちとはまるで違うスタンスを取っています。だからこそ驚きや感動がありますし、より「響く」ものだったこともまた事実ですね。