きゃべつちょうちょは10代で起こった衝撃を上手に表現している

私の思い出と重なる部分が多い内容の作品です。転校生の他田鞆は、登校中のバスで林末子という美少年と出会います。転校した教室には末子が居て、男では無かった事が判明するのです。全ての女性的な部分を自分から放り出している状態の末子は、まるで宝塚歌劇の男役スター其の物です。

この自らの性を否定する末子の心理は、大変仲良しだった兄が事故で亡くなってしまった事に起因します。それも、小学生位だった末子を自転車の後ろに乗せて居る時「白い蝶々」が、彼等を誘導するかの様に飛んで行くのです。「西洋の言い伝えではその年、初めて見た蝶々が白いと幸福になるんだって。」と、後ろの末子に兄が言います。

「もっと、蝶々に近づこうよ!」と末子が言うので、兄は自転車のスピードを加速させ、車と接触して末子は助かり、兄は亡くなります。10代前半のこの強烈な体験に因り、彼女は「何故、私がこの世から消えなかったのか。」と、後悔の念を抱き、末子は兄の代わりをする事で、兄が生きていた事の証明をして行く事が重要だと考え、それから男性的になって行くのです。

私の高校時代も、背が高くて男性的な服装でルックスがジャニーズに居そうな女子生徒は、何故か後輩に非常に人気が有りました。

末子は、母が「貴方は女の子なんですよ。お兄ちゃんとは違うんです。夜の外出も程々にしなさい!」と、夜遅く家に居ない末子を心配して、方方探し回ってやっとの事で発見した時にこう言ったのです。

それからは、アイデンティティーの確立が徐々に成されて、鞆は昼食会に招待されます。以前、末子に告白していたので、その返事だったのです。

10代に起こる色んな出来事が「きゃべつちょうちょ」で、簡潔に描かれていると思いました。