ジョジョの奇妙な冒険 第四部 ダイヤモンドは砕けない

荒木飛呂彦作の「ジョジョの奇妙な冒険」はもう30年近くも続いている漫画作品です。ほかの同じような長寿漫画と違って、作品の登場人物たちが巻数が進むにつれて年老いていったりと時間経過のある大河漫画となっています。

その中でも、個人的なお気に入りなのが、今も絶賛アニメ化中の第四部、ダイヤモンドは砕けないです。ここの面白さと言ったらもう、この部のラスボスであり、舞台でもある杜王町に巣食う巨悪の吉良吉影があまりにも魅力的であるという点に個人的には尽きると思います。もちろん、他のキャラクターも、主人公側の登場人物達も敵たちも一癖も二癖もあって非常に魅力的なのですが、やはりこの吉良吉影には遠く及ばないと思います。

吉良吉影はひっそりと静かに暮らしたいのにも関わらず、若い女性を殺さずにはいられない殺人鬼、という二つの相反する性質が備わっているのですが、そのどちらに対してもポジティブに向き合っているというところがまず好きです。ひっそりと静かに生きるために必要以上に自分の能力を実生活では発揮しないのに、人を殺すことにかけては、とことん自分の能力を行使しています。そのギャップが面白いと感じるのと、どちらにしても悩んだりすること無く、即決して前向きに行動している点が、悪人であるにも関わらず非常に魅力的に見えるようなポイントだと思います。

また、若干ナルシストが入っていたり、ドジな部分もあるせいで、いろいろとミスをして自分の首を絞めてしまう、というなんとも情けの無い点も個人的には好きです。そのせいで最終的に命を落とす結果になってしまうのですから、このキャラクターは美点も備わっているけれど、欠点も十分にあって、人間味のないキャラクター設定なのに、人間臭さを感じさせるという人物として成り立たせているのは、この作者の凄さを感じる所です。

もちろん、吉良吉影に着目するばかりではなく、主人公の東方仗助が自分のパワー、能力、そして知恵を使って強敵たちとの戦いを切り抜けていく様は、次から次へとページをめくりたくなるような、手に汗を握る素晴らしい展開でした。ラストも、きっぱりと終わることはできたけども、ちょっとだけ闇を落とす様な終わり方で、なんだか良質な映画を見た後みたいな読後感に浸ることができました。ジョジョは何部が一番面白い、という話題でこの四部が度々取り上げられるのは、魅力的なキャラクターとこれまでに培ったバトルの描写、それからこれまでにないしっとりとした気持ちにさせられる終わり方などが、結構な影響を与えているからなのではないか、と個人的には思いました。